ランニング競技に多い足底腱膜炎ですが、ジャンプ競技や踏ん張る動作が多い競技にも好発します。
ここでは足底腱膜炎についてわかりやすく解説し、テーピングなども紹介していきます。
足底腱膜炎/足底筋膜炎とは
足の土踏まずの部分を足底筋膜または足底腱膜と呼び、体重がかかった時にクッション作用として身体へ加わる衝撃を分散します。
腱膜の走行は踵骨(かかとの骨)からはじまり、それぞれの足のゆびに向かって広がって付着します。
この筋膜ないし腱膜の炎症を、足底筋膜炎ないし足底腱膜炎と呼びます。
土踏まずの部分にも多いですが、踵の付着部の方が頻度は多いといえます。
ちなみに筋膜と腱膜の違いは難しく言うと構成さえる成分やコラーゲンの配列となりますが、あまり気にしなくて問題ありません。イコールで考えてもらって大丈夫です。
ここでは足底腱膜で統一していきたいと思います。
足底腱膜炎の症状
炎症部位の荷重痛、圧痛。ツッパリ感。
頻度的には踵の骨の付着部>土踏まずの順に多く、他は比較的稀です。
多くはいきなり痛みが発生するものではなく、徐々に症状が悪化していくことが多いです。
症状が悪化するとスポーツの最中に正しいフォーム・動作ができなくなり、跳躍距離が少なくなったり等、特に前方への動きに大きな影響を及ぼします。
足底腱膜炎の原因
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ランニングやジャンプなど体重がかかった際に足底腱膜が緊張し、特にキックのように足のゆびが反った時に緊張が強まります。
具体的には前足部で蹴りだす際にウィンドラス機構が働き、足底腱膜に伸張力が働きます。
(※ウィンドラス機構※足のゆびが伸展すると足底筋膜が緊張しアーチが上がる身体の仕組み)
繰り返される切り返しの動作やジャンプ動作、特にkneein・toeoutのような不良アライメントが見られる場合はさらに伸張ストレスが働き、リスクとなります。
(※不良アライメント※骨などが本来の正しい位置でなくなり、パーツの構成が崩れた状態)
このような身体へのストレスが繰り返し加わると主に足底腱膜が付着する踵や土踏まずの部分に炎症が生じます。
基本的には足底腱膜の緊張により限度を超えると、微小断裂などを生じることが原因ですが、具体的には下記になります。
また疲労により筋肉のコンディションが低下しているとさらにリスクが上がるのは他のスポーツ障害と同様です。
土踏まずのアーチが高い
アーチが高いと着地時などの衝撃が強くなり、足底腱膜の緊張がより強くなります。
土踏まずのアーチが低い
アーチが低い状態は足裏の機能が低下している傾向となります。
機能が低下した状態で普段以上の負担が掛かると、腱膜がそのストレスに耐え切れず微小断裂を生じ痛みになります。
アーチが低い原因として足部の過回内や体重の増加があります。
過回内の予防エクササイズは「有痛性外脛骨」をご覧下さい。
その他
- インソールが硬すぎたり柔らかすぎる。
- 凸凹が多いなどの不良走路。
- 全身の筋膜の緊張。
- 下腿三頭筋の柔軟性低下(下腿三頭筋が働く際踵骨がお辞儀する事で足底腱膜に伸張ストレスが働きやすくなります)
基本的には一度の外力で生じることは少なく、繰り返しのストレスで痛みを感じ悪化していきます。
足底腱膜炎が多いスポーツ
陸上競技(特に長距離)
バスケやバレーなどのジャンプ競技
剣道(後ろ足は常にストレスをうける)
足底腱膜炎の診断
比較的多い障害ですので、圧痛部位とスポーツを確認するだけで推察できます。
また写真のポーズを取り、痛みがある場合足底腱膜炎が疑われます。
【足底腱膜炎の治療やリハビリ】
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炎症が強い時期はRICEを行います。
症状の軽快とともに、足底筋・下腿三頭筋の柔軟性を確保していきます。
下腿三頭筋のストレッチは通常みなさんが行っているストレッチで問題ありません。
インソールを用いるのも一つの手ですね。
インソールを選択する場合は「インソールの注意点」をご覧ください。
足底筋膜のストレッチの正しいやり方
足の向きが真っすぐ向いていないと筋膜の柔軟性に差が出てしまい、柔軟性が乏しい部位に負担が掛かり過ぎてしまう為注意が必要です。
正しいストレッチはまっすぐ行います。
足底腱膜炎の再発や予防にオススメ
予防おすすめの器具になります。これらを使用し足底筋膜をリリースしたり伸張させます。
ゴロゴロしたり足踏みしましょう。
痛みのない範囲で、できるだけ毎日コツコツ行うのが足底腱膜のコンディションを良好にします。
↑マッサージボールの正規品です。
中々治らない足底腱膜炎の対処方法
本来は早く治す為に運動量を調節するのがいいのですが、中々そうはいかない場合もあるでしょう。
そして足底筋膜炎が長く続くと日々のケアでも追いつかない事があります。
そんな状態であればケアのやり方を変えてみるのも1つの手です。
そこで足底筋膜炎のセルフケアにより特化したページを作りましたので、気になる方はご覧下さい。
足底腱膜炎のテーピング
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うつぶせで膝を90°に曲げた状態で足首と足のゆびを反らせる事で足底筋がわかりやすくなります。
具体的なやり方の説明に入ります。
注意深く圧痛を確認し圧痛がある筋に対してテーピングを行います。
うつぶせで足関節に下にタオルなどを入れます。これは下腿三頭筋のテーピングと同様ですね。
軽く足趾を背屈した状態で踵骨付着部から原因の筋に沿ってテーピングを行います。
テンションをかけ過ぎるとかえって悪化する原因になりますので、ほどほどにしましょう。
私の場合は圧痛のある腱膜にワーデルを貼り、足裏の広い範囲にその他のキネシオを貼りサポートする事が多いです(今回はトワテックの製品を使用しています)
テーピングの種類についての説明はこちらをどうぞ。
実際は足底腱膜は強い筋になりますので、テーピングでカバーしきれません。
ですので過度に期待してフルで運動を行うと悪化してしまいますので、注意が必要ですね。
あくまでサポートです。
踵骨付着部に限局した痛みの場合は、クッション材を入れて固定する事もあります。
さいごに
繰り返しになりますが足底腱膜炎はコンディションの低下でリスクが上昇し、一度なると荷重がダイレクトにかかる為に完治するまで中々に苦戦する障害です。
治療に苦戦するよりも少しの予防でリスクを下げることが出来ます。
あらゆるスポーツ障害に共通する事ですが、予防が何よりの治療?です。
しっかり身体のリスクマネジメントをしましょう。
以上で「足底腱膜炎/足底筋膜炎」の説明を終わりにします。