筋肉に損傷がない限り、体はエネルギー切れを起こして疲労を感じているわけではないことはこちらの記事で解説しました。
今回はより具体的に疲労の回復・改善方法を解説していきます。
スポーツでの疲労を早く上手にとって「記録を伸ばしたい」「よりうまくないたい」そう考えている人は是非読んでみて下さいね。
そもそも疲労とは?
疲労とは日本疲労学会で「一般に運動や労力などの身体作業(運動)負荷あるいはデスクワークなどの精神作業負荷を連続して与えられたときにみられる、身体的あるいは精神的パフォーマンスの低下現象」とされています。
つまり
- 注意力や思考力の低下
- 運動量の低下
というと一般の方の疲労とマッチするかと思います。特にスポーツではよくみますよね。
そしてこちらでも書いているように、基本的に疲労は体のサインなのでこのサインを無視するといけないわけです。
脳が疲労する原因とは?
十年ぐらい前までは疲労は乳酸という物質か原因とされていました。ですが近年研究は進み、乳酸は疲労物質ではなく、本当の疲労を引き起こすのは活性酸素であることがわかってきました
活性酸素が過剰に発生して細胞にくっつくことで「細胞の酸化」し、正常な活動が出来なくなることが疲労となるのです。
これは酸化ストレスと呼ばれています。
活性酸素の酸化ストレスについて
それでは活性酸素と酸化ストレスについてもう少しわかりやすく説明しますね。もし「そんなのはいいから疲労を取るにはどうしたらいいのか教えてくれ!」って方は少し下へ進めて下さい。
スポーツをすると呼吸が荒くなり呼吸の数も増え、体温が上がりすぎると問題なので汗をかき、体温調節をします。僕たちは実感しませんが体の中では体を動かすことと同じぐらい、こういった調節機能が頑張って働いています。
この調節機能をしているのが視床下部や前帯状回と呼ばれるところなのですが、運動の負荷が上がったり、時間が経過すると処理の負担が増加します。あわあわするわけですね。
この時に活性酸素を発生させてしまうのです。するとその発生した活性酸素により細胞は酸化し、脳が疲労してきます。この疲労のサインを脳の別のところが察知して疲労するというメカニズムになっているのです。
しかも活性酸素がメインにターゲットにするのはミトコンドリアと呼ばれるエネルギーを作り出すものなので、余計に質が悪いのです。
というのもミトコンドリアは酸素を必要とするので活性酸素が起こりやすいのです。
このように筋肉や休みなく働いている自律神経の細胞をさびつかせるのが活性酸素で、うまく細胞が働かなくなり疲労を感じるようになるのです。
激しい運動は呼吸数が増え、大量の酸素を必要とします。そしてその酸素の1~2%は活性酸素となり、酸素が多い筋肉や常に働いている自律神経の細胞の働きを弱めて疲労を感じやすくするのです。
ちなみに実験結果で体には4時間運動負荷をあたえても筋肉や肝臓機能にはほとんど影響でなかったという結果も出ています。
つまり通常の運動では筋肉が疲れたのではなく脳が体の機能を維持するために疲労を感じてしまい、それが体の疲労となるわけですね。
活性酸素とは
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活性酸素とはわかりやすくいうと酸素が体内に入り、体内の他の物質を酸化させる機能が強くなった酸素をひとまとめにして呼びます。具体的には
- スーパーオキシド
- 過酸化水素
- 一重項酸素
- ヒドロキシルカジカル
の4種類をさします。
活性酸素は通常の呼吸で得る酸素の1〜2%は活性酸素になり、体内の他の物質とくっつきます。これを酸化するといいますが、これが体内でおこり、つまりは酸素が他の物質などにくっつき酸化してしまうのです。
酸化すると電子が奪われることになるのですが、このとき奪われた方は正常な役目を果たせなくなります。正常な役目が出来なくなると他の組織にも不具合が起こり連鎖的に悪くなっていくのです。
では活性酸素により体が錆びつくのは仕方がないのでしょうか?
実はそこは活性酸素の作用を押さえつける味方がいます。
それが抗酸化酵素です。
抗酸化酵素で活性酸素をブロックすることで疲労しにくくする
抗酸化酵素は名前の通り酸化をブロックする酵素を指します。カタラーゼやスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)などです。そしてそれぞれの酵素が協力しあい、最終的に水と酸素に分解され体から除去されます。
しかしやはり加齢や部活や仕事など大量にエネルギーを使うと抗酸化酵素の働きよりも活性酸素が有利に立ち、少しずつ負担となってきます。
また体内の抗酸化酵素よりも疲労により活性酸素の量が増えてしまうと、抗酸化酵素のの力ではおさえきれずに疲労を起こしてしまいます。活性酸素>>抗酸化酵素という感じですね。
つまりは疲労はそもそも活性酸素を出来るだけ出さないのと、さっさと脳を休めて疲労回復してもらうのが大切になります。
ではどうしたらいいのかと言うと答えは日常生活の中にあります。それが食事、睡眠、生活習慣です。
疲労を回復させる具体的な方法
長くなりましたが、ここからが本題です。疲労を早く回復させるための方法をいくつかみていきましょう。
食事、睡眠、生活リズムの3つがポイントです。
それぞれが少し長いですが、トータルでケアをして上げることで効果もより上がりますので最後までお付き合い下さい。
- 食べ物
- 睡眠
- 生活リズム
- お酒について
- 入浴について
- 栄養ドリンクについて
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疲労を早く取る食べ物
抵抗疲労プロジェクトでは23種類の食品成分の効果を評価したところ、疲労回復に効果的な食品がわかりました。
それが鶏胸肉、赤身魚、クエン酸です。
鶏胸肉や赤身魚には疲労回復成分であるイミダペプチドが多くの含まれています。
鳥は長い時間飛ぶ必要があり、赤身魚は常に泳がなくてはいけないので、持久力と疲労回復に優れているわけです。特に尾に近い程いいでしょう。
クエン酸は酸っぱい!ものに多いです。
更に詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
→疲労回復に有効な栄養イミダペプチドとクエン酸。多く含まれる食べ物は何?サプリメントは?
良い睡眠と悪い睡眠について
睡眠は疲労回復で重要です、その点、悪い睡眠として注目されるのはいびきです。
いびきをかいている子供は疲れがたまりやすい&たまっている傾向があります。例えば「すぐに横になりたがる」「昼寝が多すぎる」こんな子供は運動量が多いか、あるいは夜にしっかり休めずに疲労が抜け切れていない可能性があります。
通常いびきをかきやすいひとは特徴として
- 太っている
- 日本人は骨格的に、あごが小さく舌がしっかりおさまらない。
- 中年女性はホルモンによる影響
がありますが、子供はそこまで影響は受けにくいと言えます。
それではいびきの何がいけないかというといびきが出る時、気道が狭くなって音が出ていますよね。
狭い気道での呼吸は苦しいです。普通の生活に比べて十分な呼吸が出来ているとは言えませんね。低酸素状態に陥りやすいでしょう。
低酸素状態にならないにしても呼吸が苦しいとまずい!と脳は判断します。すると脳(自律神経)からの指令で心拍を早くし、血圧をあげることで酸素を無理にでも体へ送るようにします。
つまり自律神経は本来体の活動が低下するので休まるはずが、いつのまにか酷使してしまっている状態となるわけです。疲労を回復するための睡眠が実は十分に回復出来ていないというこにもなりかねていないわけです。
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ではいびきによる過度な呼吸があるかどうか、どうやった調べるかと今はきちんとした器具があります。
PSG(終夜睡眠ポリグラフ)と呼ばれる検査が睡眠外来などの医療機関で受けることができます。今では病院に泊まることなく自宅でも行えるようになったので助かりますね。価格もリーズナブルで保険適用で3000円ほどの費用とのことです。
またそこで睡眠時無呼吸症候群と診断されればCPAP(シーパップ)と呼ばれる睡眠時に呼吸をサポートする器具が健康保険を使って月5000円程で借りることができます。
シーパップの使用でいびきがある人の80%以上に疲労回復効果も見られるというデータも出ているのでほとんどの人に効果が出ると言えるでしょう。
このように本来きちんとした睡眠ができていれば日中の激しい活動もサポートできますが、活性酸素による組織の酸化を改善できないと脳が回復しにくなります。結果的に疲労が貯まりパフォーマンスが上がらないばかりか、キレのない動きとなりケガの元にもなります。
生活リズムを整えて疲労回復しやすい体に
疲労の原因は脳ですから、脳を回復ためには生活リズムを整えるのも大切なポイントです。
人は生活の中でいつのまにかリズムを作っています。朝起きて夜寝るというものですね。もちろん仕事内容により異なりますが、世の中のほとんどの人はそうですよね。
体の細胞の中には体のリズムを整える機能もありますが、これは朝日を浴びて調節します。
そして朝に体内時計がリセットそれるとおよそ14〜16時間後、ちょうど暗くなってくることでしょうか。その頃になると今度は脳から「寝るよ〜。」と睡眠ホルモンが出てきます。それを受けると体温が下がったり、交感神経から副交感神経神経へスイッチを入れ替えることで、リラックスし眠りやすくなります。
逆に本来暗くなる時間に強い光を浴びると今度は1日のリズムが崩れやすくなります。自宅でも蛍光灯の光が強すぎたりするとよくないですね。夜になったら照明をしぼったり、間接照明を使うことで自然と光を浴びすぎないようにしましょう。パソコンやスマホの光も気をつけたいところですね。
逆に良い睡眠は疲労を取るためには効果的です。
効果的な睡眠には日中の交感神経からリラックスする副交感神経にスイッチを入れ替える必要があります。ここで1つポイントを加えるとしたら香りも有効です。
アロマテラピーです。
特に緑青の香りと呼ばれる、いわゆるって感じの香りですね。
アロマテラピーはヨーロッパでは実際に医療の現場に使われるほど効果が期待できます。もちろん匂いなので嫌いな匂いを長時間かぐと逆にストレスになりますので、好きな香りがいいですね。
また疲労に対して効果的な香りが科学的に確かめられたものがあります。それが植物の緑葉成分の香りであの緑茶の葉っぱの香りです。
特に新茶(青葉アルコールや青葉アルデヒド)は効果が高いとされています。
持続性はありませんが、1日の終わりや寝る前にアロマディフューザーで疲労回復を上乗せするのも有効ですね。
可能であれば噴出量を調節できるタイプだと尚効果が高いとされています。
入浴は疲れる原因になる
疲労を取るために家で出来ることにに入浴と食事もあります。
疲れを取るため!と暑いお湯に首まで使っていると体温は上がりすぎ、寝る準備が出来ません。
本当に疲れを取りたいなら40℃以下のぬるま湯にして、10分ほどでも体温はちょうどよく上がります。多少長くしてもいいですが、睡眠を意識するなら長すぎはよくないですね。時間は寝る前の12時間前かいいでしよう。
寝酒は基本的にNG
眠りを良くするために寝る前にお酒を飲むという習慣がある方もいるかもしれませんね。
ですがお酒で寝れるのは酩酊しているだけと言われています。麻酔みたいなものですね
更にいうとお酒を飲むと舌が気道を塞ぎやすくいびきを書きやすくなりますよね。いびきはよい睡眠の敵なので、これもよくありません。
カフェインが多いものは脳を覚醒させる作用があるので、お茶やコーヒー類は気をつけたいところです。当然あまーい清涼飲料水、チョコレートにも気を配り、避けましょう
栄養ドリンクは疲労回復にならない
次は栄養ドリンクに目を向けてみましょう。
栄養ドリンクに疲労回復という文字を見たことが有る方はいますか?僕もコンビニで一通りチェックしましたがそんな名言はありませんでした。
つまり僕達が疲労回復に…と思っていて飲んでいた栄養ドリンクは疲労回復には効果的ではなかったのです。
もちろん商品により漢方成分が強かったり、ビタミンが多く含まれていたりしますが、カフェインも含まれています。
寝る前のカフェインは睡眠を妨害するので脳の疲労回復に必要な睡眠を浅くしたり寝付きを悪くする可能性が十分にあります。
また微力のアルコールも含まれています。アルコールを飲まれる方はわかると思いますか、気分が高揚、つまりテンションは上がりやすくなりますよね。
すると実は体は疲労しているのに、テンションがあがるので疲労を誤魔化してしまいます。これはマスキング効果の1つですね
本来の状態がなんらかの理由によりマスク(=かぶさりわかりにくくなる)されること
スポーツで疲労を早く取る方法のまとめ
疲労を早く撮りたいなら⇒食べ物鶏胸肉赤身魚
睡眠について⇒いびきを少なくする。リラックスできるアロマもgood
生活リズム⇒ホルモンバランスが崩れないように出来るだけ規則正しい生活を
お酒について⇒お酒は疲労回復にはならない。麻痺しているだけ
入浴について⇒熱すぎる温度は逆に疲労の原因に。長く入るならぬるめで。
栄養ドリンク⇒栄養ドリンクに疲労回復成分はない。普通にご飯を食べていれば子供なら飲まなくても問題なし
普通の生活であれば以上を気を付けるといいでしょう。子供であれば食事や睡眠、生活リズムが大切ですね。
疲労を溜める事はプレー中や運動中のパフォーマンスを下げるばかりか、ケガにつながります。逆に言えば疲労を効率よく取る事が出来ればパフォーマンスは上がりやすく、ケガのリスクも下げる事が出来るでしょう。
自分は疲労なんてない。子供は疲れてない。その様に考えずに一度生活を見直してみてはいかがでしょうか?