テニス競技経験者の多くの人が訴える問題にテニス肘(上腕骨外側じょうかえん)があります。
軽症の場合は安静、治療、リハビリで改善しますが、痛みが長い期間続くと重症型・難治型に移行、またはそもそもが治りにくいパターンだった可能性があります。
そこで今回はテニス肘でも難治性のパターンに絞って解説していきたいと思います。
尚、今回の内容はスポーツメディスン145号の別府諸兄(べっぷ もろえ)先生の難治性上腕骨骨外側じょうかえんの関節鏡下手術を参考にさせて頂いています。
いつまでも治らないテニス肘は重症型・難治型のテニス肘かも?
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テニス肘とは?簡単に説明
テニス肘とはテニス人口の1/3はかかるとされているスポーツ障害です。
主にバックハンドで肘の外側に痛みが出るのが一般的なテニス肘で、症状が進行すると日常生活でも痛みがでることもあります。
また現代社会で言うとマウスやキーボードの無理なポジションでの使用によって痛みがでることも少なくありません。
一般的なテニス肘はリハビリを行う事で痛みが改善し復帰する事が出来ますが、一部重症化し、ただのリハビリでは中々効果が出ない事があります。
それが今回説明する重症型のテニス肘にです。
では具体的に見ていきましょう。
重症型・難治性テニス肘とは
通常のテニス肘は関節の外の組織に問題が出ますが、重症型・難治性のテニス肘は関節の内の組織に問題が起きているケースがほとんどです。
関節の外の問題:外側じょうかえん、
関節の内の問題:滑膜ひだ、滑膜炎(滑膜が増えた状態)
滑膜ヒダとは関節の適合性を高めたり、保護するための組織のこと。 ただ関節の近くにあるためスムーズな動きができないと関節に挟まれることで炎症を起こす。 炎症を起こすと組織は強くなるために量を増やしたりするため、更に挟まりやすくらなったり炎症が起こりやすくなったりする
滑膜ひだの問題か簡単にチェックする方法として画像の腕橈関節周囲に押しての痛みがあるかです。もちろんこれだけで確定するわけではありませんが、この部分は通常のテニス肘だと痛みは出にくい部分ですから、ポイントにはなりますね。
またfringe impingementテストといい、前腕回内+肘の伸展で痛み同じ腕橈関節に痛みが出ると問題となります。
前腕回内:肘を曲げて手の平を下にする動き
肘の伸展:肘を伸ばす動き
特にテニス肘のテスト方法のトーマステスト、中指伸展テスト、fringe impingementの3つが痛みがあった場合で期間が半年以上の場合は重症型・難治性のテニス肘の可能性が高くなります。
またテニス肘の10%が難治性となるようです。
それぞれのテスト方法は通常のテニス肘をご覧ください→テニス肘(上腕骨外側じょうかえん)
以上の条件に当てはまり超音波検査で問題が確認された場合、滑膜ひだや滑膜の増殖があり、その他の関節周りの組織にも損傷が高確率に見られたとのことです。
テニス肘の術後成績
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重症型・難治型のテニス肘は関節鏡で手術をすることが多いようですが、予後はいいようです。
術後は4ヶ月ぐらいでスポーツなどのハードな動きにも復帰ができるとのことなので比較的早い方と言えます。
もちろん手術なので合併症のリスクもありますが、リハビリで改善され問題はないようです。
難治性のテニス肘で大切なこと
手術をして痛みがなくなったからといってゴールではありません。
同じフォームでやっていれば同じように問題が出るのは簡単に想像できますので、再発しない動き作りが大切になります。
肩関節や体幹の回旋をよくしたり、グリップの太さやガットの調節。スピンの使い分けなど細かいところまで気を配る必要があるでしょう。
まとめ
難治性テニス肘は関節の内側、特に滑膜ひだや関節を包んでいる組織に問題が起きているケースが多く、手術で改善されることがほとんどです。
あまり長い期間痛みがあるようなら、一度専門の検査を受けてみた方が無難でしょう。
●今回学んだ内容はこちらのスポーツメディスンです。
→スポーツメディスン145号の別府諸兄(べっぷ もろえ)先生の難治性上腕骨骨外側じょうかえんの関節鏡下手術
●僕が年間購読しているスポーツメディスンとトレーニングジャーナルについてはこちら
※別府諸兄先生は聖マリアンナ医科大学代表教授で日本テニス協会の委員長やドクター・トレーナー部会長も務める。
2012年時点の状況ですので、現在こちらの病院で同じ対応をしているかは保障致しません。
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