踏み込んだ時の足関節前面の違和感やふくらはぎが張りやすい・痛みの出方に左右差がある方は足関節前方インピンジメントかもしれません。
過剰な骨が原因として考えられる足関節の違和感はそのままにしておくとパフォーマンスの低下や将来的にスポーツ障害を誘発しますので、心当たりがある方は一度確認の為、ご覧ください。
ではどうぞ。
そもそもインピンジメントとは
そもそもインピンジメントとはなんでしょうか?
意味を検索しますと衝突や激突と出てくることが多いですが、医療の分野では主に「挟み込まれる」ことを指します。
インピンジメント症候群と呼ばれることが多い障害は肩ですが、実は身体の様々な部位で生じています。
中でも多いのは肩・股関節部・足関節部でしょう。
肩関節のインピンジメントについてはこちら
足関節前方インピンジメントとは
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足関節前方インピンジメントの多くは余分な骨が足首を構成する骨から突出し、それによって足首の前面に下記の症状がでるスポーツ障害になります。
別名を衝突性外骨腫といい、名前の通り繰り返しの衝突で通常の骨の範囲の外に出てきてしまいます。
またフットボーラーズアンクルと呼ばれる事もあるようですが、サッカー以外でも着地で足関節に負担のかかるバスケやバレー、左右前後へのストップ&ゴーが多いテニスにも生じます。
アンクルは足関節を指します
足関節前方インピンジメントの原因
捻挫などが原因の足関節の機能障害や、接地時など過剰に衝撃が加わることで足関節の軟骨の変性により骨棘を生じる事が原因とされています。
骨棘とは簡単に説明しますと、なんらかの原因で骨に繰り返しのストレスがかかる事で骨がトゲ状に変形してしまう事です。
その骨棘が原因で周りの組織である関節を包む袋を挟んだり、骨を刺激する事による炎症を生じたりします。
足関節前方インピンジメントの症状
足関節の背屈制限
足関節前面の違和感、下腿部の異常なはり感。
足関節部の荷重時やスポーツ時の痛み
スポーツ後の痛みなど。
また長期間骨棘による背屈制限がありますと、足関節前面の筋肉である前脛骨筋の脱力が非常に難しくなり、下腿部の筋肉が疲労しやすくなります。
足関節の背屈:足首を上に上げる動作
足関節前方インピンジメントの診断
レントゲンなどの画像診断が有効です。
またただ単に筋肉の柔軟性が問題ないのに関節の可動域に問題があるならばこの疾患を疑ってもよいでしょう。
検査もありますが、触り慣れている人でないとわかりにくいかと思います。
また、踵を付けたまましゃがめるか確認するのもいいでしょう。
ふくらはぎの柔軟性はしっかりあるのに、しゃがめない・しゃがもうとすると後ろに倒れてしまう・つま先を外に向けないと踵を付ける事ができないなどの状態ですと、足関節前方インピンジメント(衝突性外骨腫)が疑われます。
足関節前方インピンジメントの検査方法
患者を寝かせた状態で膝を伸ばし脱力させる。
検者が膝関節を伸ばしたまま足関節を背屈させていき、ふくらはぎに伸ばされる感覚がないのに足関節の背屈に制限がかかっている場合は陽性。
また軽く膝を曲げた状態で同じように足関節を背屈していき、同じように足関節の背屈制限があると陽性となります。
ここで難しいのが“どのような背屈制限があるか”です。
筋肉によるものなのか、筋肉以外によるものなのか。この判断が慣れていないとわかりにくいかもしれません。
筋肉の場合は“グイーと段々制限がかかってくる”のに対して、骨が原因の場合はグイーという余裕はなく、カツッとまでいかないですが急に制限がかかってきます。
膝を曲げた状態ですと腓腹筋は緩むため、筋肉の影響を受けにくいので精度は上がります。
注意として脱力していないと意味がありません。
これが分かると、「あ、足関節の前面で骨状の何かが邪魔をしていて制限がかかっているな」と予測ができるようになります。
足関節前方インピンジメントの治療
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炎症期ではRICEを行います。
そしてあまりにくり返し外骨腫による可動域の制限になっている場合は、関節鏡などで骨棘の除去を行います。
つまり手術です。
しかし足関節が不安定な選手は再発する事もあるようです。
足関節の不安定性がある選手は靭帯を修復する手術やサポーターの使用を検討します。
足関節のサポーター
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関節の安定化を図るために足関節周囲の筋肉の強化などが必要になります。
また足関節周囲だけでなく極端な足関節の背屈動作を予防するために臀部筋などの股関節周囲の筋の強化も必要になります。
殿筋の遠心性収縮もポイントになります。
遠心性収縮についてはこちら
これは着地やストップ動作などを足関節に頼り過ぎないようにするためです。
股関節にエクササイズは下記を参考にしてみて下さい。
→「身体の使い方・股関節のエクササイズにおすすめのアイテム、スライディングボード」
足関節前方インピンジメントの経験談
私も足関節の前方に過剰な骨がある為に足関節の可動域に制限があります。
大人になってからは筋肉が張りやすい程度ですが、子供の事はとても苦痛でした。
足関節が思うように動かない事で、結果足関節に関与する筋肉が十分に動かず筋肉がすぐに張ってきてしまうのです。
特に前脛骨筋や下腿三頭筋が過剰にパンプアップしコンパートメント症候群のような状態になってしまっていました。
呼吸はまだまだいけるのに足がつりそうになり思うように動かなくなります。
(実際、私はスポーツをやっていた時はスポーツ中に足は一回もつった事はありませんでしたので、つる前の状態が常に続くと言った方が正しいかもしれません)
ふくらはぎのストレッチをしても足関節の背屈に制限がかかってしまっているので、ふくらはぎが伸びないのです。
これはこの業界に入ってわかりました。
左はストレッチがかかるのに右は全然伸びない。不思議に思っていたのを今でも思っています。
前方インピンジメントでも日々のケアで動きや痛みはサポートできる
仮に骨棘があり、前方インピンジメントだと診断されても日々のケアである程度はカバーできます。
というのも中には実際に骨棘が全ての痛みや動きの悪さの原因ではないからです。
これは管理人自身経験しています。
具体的に言うと根本では確かに骨により動く範囲が狭くなったり炎症は起こりやすくなっているかもしれません。
しかし実はそれに伴って関節周りの靭帯や筋肉が硬くなり、さらに悪くなってしまっていることもあるのです。
そんな選手は足首周りに動きをよくするだけでも歩き方や感覚は違ってきます。
具体的なやり方は専用の記事をご覧ください。
さいごに
外骨腫による背屈制限は本来動きをメインとする足関節・足関節周囲の筋肉の大きな問題となります。
なにかよくわからないけど片方のスネの筋肉がやたらと張りやすい。
踏み込むと足関節の前面に違和感がある。
などを自分で感じるようでしたら、一度トレーナーや普段通っている治療施設のスタッフに相談してもいいかもしれません。
同じ足関節のインピンジメントについてはこちら
痛みという明確な症状が少ないスポーツ障害ですが、足関節が正常に機能しないとパフォーマンスに多くな影響が出たり、怪我を誘発する「足関節前方インピンジメント(衝突性外骨腫)」の説明は以上になります。
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