今回の遠位橈尺関節不安定症はあくまで外傷ではなく「障害」として記載をしてあります。
一部急性の症状についても書いてありますが、急性については通常の捻挫と同様の処置(固定により患部の安静、症状に合わせてリハビリなど)をとります。
そこまで症状が強くでる障害ではないので、マイナーな障害と言えますね。
ではご覧ください。
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遠位橈尺関節不安定症とは
遠位橈尺関節とは手首の関節の近くにある関節になります。
ここの関節は肩や股関節の様に大きな動きはしませんが、手首を内側や外側に捻る「回内・回外」という動作に大きく関与します。
その関節が何らかの原因により不安定(=ゆるく)になり痛みを訴える障害を遠位橈尺関節不安定症と言い、起こりやすいパターンとしては両手よりも左右どちらかに出る場合が多いです。
赤い丸のところが遠位橈尺関節になります。
遠位橈尺関節不安定症の症状
手をついたとき、手をついて捻った時に痛み。
物をもって捻った時の痛み、ペットボトルを開ける動作。
など、遠位橈尺関節は捻じる動きがポイントなるので、そのため捻じる動きで痛みが出やすといえます。
遠位橈尺関節不安定症の原因
遠位橈尺関節の問題は本人に何かしらのエピソードがあります。何もしないで起こるということは稀です。具体例を確認してみましょう。
- 手関節の捻挫をして痛みのある初期の段階で固定をおろそかにする
- 手をついたり、手をついて捻る動作をするスポーツの繰り返し
- 橈骨遠位端骨折(手首の骨折)の後遺症
この様に初期の段階で固定などの治療をおろそかにしたらり、骨折の後遺症として起こりやすいといえます。また本人は特に記憶はなくても少しづつ負担がかかり起こるパターンもあります。
手首が不安定になりやすいスポーツ
体操、テニス、野球、卓球
ここの不安定症はスポーツでは体操などの手首をついた状態から捻る動作が圧倒的に多いです。
またラケットを使い、肘や手首を捻る動作が多い競技にもみられます。
遠位橈尺関節不安定症の診断
手をついたり捻る動作での痛みが上記の画像の部分に出た場合や、手関節を横からみた場合に尺骨遠位端部の隆起を認める場合。
尺骨の遠位端部とは手首の外側にある骨の出っ張りを指します。ここが左右で比べて出っ張ってると遠位橈尺不安定症が疑われます。
他にテスト方法もあるのでチェックして下さい。
※痛みがあることが前提です
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<テスト方法>
ピアノキーサイン
手首を抑え、尺骨遠位端部を上から押した場合に骨が沈んだら陽性。
ピアノの鍵盤を押した時のように関節が動く感じがするため、ピアノキーサインといいます。
ピアノキーサインは肩鎖関節損傷でも有名ですね。
遠位橈尺関節不安定症の治療とテーピング
手首をついて捻ったりなど外傷によるものは、症状によりますが肘関節まで固定することがあります(回内・回外運動は肘も大きく関与するため)
亜急性などで持続的に痛みがある場合は装具やテーピングで固定を行いますが、痛みが強い場合はスポーツを中止するのが無難です。
テーピングについてはTFCC損傷に亜急性・慢性の簡単なテーピングが記載してありますので、ご確認ください。
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遠位橈尺関節不安定症のふみこんだお話し
外傷ではなく繰り返しで痛みが出た場合は機能訓練・リハビリを行わないと再発は必至です。
基本的にこの手の障害は患部が原因ではなく身体の使い方が原因で痛みが出る部分に負担がかかり悪くなることがほとんどです。
今回の場合体操をメインに話をしますが、手をついた際に「手関節のみで身体を支え、捻っていないか」が重要になります。
その際のチェックポイントを下記に記載しておきます。正しく観察するために写真などをとっておくと左右のチェックや改善時の確認にも使えるのでお勧めです。
必ず「痛みがある方の手と痛みがない方の手を比べて下さい」
『痛みがある方の手は指を使い過ぎてバランスをとっていないか
手をついた時の手(指)の向きは左右同じか(前から確認)
手をついた時の肘の向きは左右同じか(前から確認)
手をついた時の上腕・肘・前腕の回旋は左右同じか(前から確認)
手をついた時の手首の角度は左右同じか(横から確認)
手をついた時の肘の角度は左右同じか(横から確認)』
最低限上記はチェックした方がいいですね。左右差があるようならば、可動域訓練や荷重トレーニング(力を均等に入れる訓練など)を行わないといけません。個人で行うのは難しいのでトレーナーや、スポーツ整形、リハビリ施設がある整形外科などをおすすめします。
ただし診断やリハビリは必ずしも望むことを行ってもらえるとは限らないのでご注意くださいね。
また症状がよくなり、リハビリの最後のチェックとして体重計の上に右手と左手をそれぞれ一つずつ乗せます。その際に左右差がないことをチェックします。
遠位橈尺関節不安定症のサポーター
遠位の橈尺関節の不安定感はサポーターを付けることで痛みの調節になることもあります。
症状に合わせて使い分けるのがポイントですかね。
しっかりめ/症状が強い場合
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日常生活をカバー/症状が落ち着いてきた場合
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しかしサポーターはあくまで一時的なカバーぐらいに考えましょう。
サポーターは一時的に症状は緩和することもありますが、つけたままの練習には限界がありますのでご注意ください。
もっと管理人の治療・アプローチを詳しく知りたい人はこちら
主に治療家・セラピスト向けになりますが、より具体的なアプローチポイントとして管理人の考え方を練り込んだ内容をお伝えします。表では書いていない内容としてセラピスト目線のアプローチ方法や専門用語を使った解説がメインとなりますので、経験者の意見が聞きたい・幅広い知識が知りたいという人におすすめです。
またスポーツ障害に限らず一般の疾患としても使えるので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?
→[スポーツ障害の勉強部屋]
さいごに
基本的に症状(痛み)が出てはじめて不安定症という診断・判断がつきますので、上記のテスト方法をしてゆるかったりしても、不安定症とは言いません。
ゆるいだけですとあくまで「不安定症のリスクがあるね」程度の話になります。
またTFCC損傷と合併している事が多いので、要チェックですね。
以上で「遠位橈尺関節不安定症」の説明を終わりにします。