この記事は腰椎分離症でも少し触れていますが、たまたまサッカー少年の腰痛をみる機会がありましたので、もう少し具体的に説明しきます。
サッカー選手、関係者の方は一度目を通していただければと思います。
サッカー選手の腰痛の対策・改善方法の一例をご覧ください。
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サッカー選手の腰痛で多いパターン
サッカー選手の腰痛が多いパターンは大きく分けて2つあります。
1つ目がキック動作で股関節の伸展(後ろに振りかぶる動作)時に腰の反りが強くなるパターン。
2つ目が股関節を同じ方向で使用する事が多い為に股関節周囲の筋肉にアンバランスが生じ、結果仙腸関節という骨盤の関節を痛めるパターン。
仙腸関節はここ↓
ここでは主に1つ目のパターンを中心に記載してあります。
サッカーをする人にとっては必須の内容となりますので、一度目を通すことをおすすめします。
今回のサッカー選手(子供)の腰痛症状
来院時、右腰部と右でん部の痛み。
サッカーでキック時、足を後ろに蹴り上げる時に腰の反りが出るために痛みを訴える。
腰痛の状態と原因
小学校4年生 週5~6回クラブチームでサッカーをする。
数週間前より、最初は腰部の痛みだったが、次第にでん部に痛みが広がっていったとのこと。
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体の状態をチェック
サッカーでキック時に痛いという事から最初からある程度予測できていました。
痛みの出る部位を確認し、立位で骨盤の傾きを確認します。
左と比べ右の腰部・でん部の筋肉がかなり硬くなっている状態でした。
そして右骨盤の方が前傾(前に倒れている状態、おじぎをしている状態)しています。
片方のみ前傾している状態だと考えられるのは右の股関節・ふともも前面の柔軟性が乏しいか、左の股関節・ふともも後面の筋肉の柔軟性が乏しいかが考えられます(原因が筋肉の柔軟性による場合)
今回の場合は前面の柔軟性が乏しいパターンでしょう。
また立位になってもらうと脊柱のアライメント(配列)もよくありません。
腰部が伸展方向(反り)に強く、胸部は屈曲方向(曲がっている)状態でした。
次に動きで確認します。
腰の痛みを動きで詳しくチェック
腹臥位(うつ伏せ)で膝を曲げていき腰の痛み・大腿四頭筋の柔軟性をみます。
その後右側臥位(右を向いた横向き)で股関節前面の柔軟性をみます。
本人に聞きながら行うと左と比べ右の方がストレッチ時に痛い(伸びない)とのこと。
これはサッカーでの腰痛で多いパターンの障害ですね。
つまりどういうことかと言うと
”キック時に股関節と大腿前面(腸腰筋・大腿四頭筋)の柔軟性が乏しいと、股関節の伸展(足を後ろに引く動作)の可動域が減少する”
ということになります。
しかしキックをするためにはどうしても反動として振りかぶらなくてはいけません。
ではどうするか?
それは腰部の反りを使って、腰から振りかぶってしまうのです。
一回や二回なら問題ありませんが、繰り返しその動作を行う事で腰が反る際に腰部の筋肉が過剰に働き、耐え切れなくなって腰の痛みを引き起こします。
そして今回はそのままプレーを続けた為に痛いところをかばい、でん部の筋肉にも負担がかかったのでしょう。
幸いにもまだ筋肉の痛みのみでしたが、これが進行すると筋肉ではカバーできなくなってしまい、腰椎の伸展強制が繰り返し生じることで、腰椎分離症となっていってしまいます。
腰椎分離症となってからでは治療も大変になってしますので、早期の治療・リハビリで身体を整えるのが必要になります。
サッカーをしているお子さんが、接触などなく腰が痛いと言ったら要注意ですね。
腰椎分離症の記事はこちら
サッカーでの腰痛の治療メニュー
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最初に腰部に痛みの出ない範囲、ストレッチが過度にかからない範囲でストレッチを行います。
右横向きで骨盤を固定し、股関節を伸展・膝関節を屈曲する事で、大腿直筋のストレッチを行います。
また骨盤を固定し、股関節の伸展を行う事で股関節前面のストレッチも行います。
基本的にはこれでOKですが、痛みが出ている部位(腰部・でん部)に軽擦(軽く圧迫しながら、擦る程度)とリリースを行い終了です。
気をつけたいのが、子供の筋肉は大人と比べとても繊細です。
強くグリグリやる必要もなく、軽く圧迫しながら擦るだけでも十分改善がみられます。
逆に強くやるとマッサージの痛みで筋肉が硬くなることがありますので注意が必要ですね。
最後に腰部のサポートテープを行い、終了です。
腰部のサポートテープはこちら →「腰部のサポートテープのやり方」
テーピングの種類についてはこちら→「テーピングの種類とおすすめのテーピング」
治療自体はシンプルです。
大事なのはセルフケアになります。
サッカーでの腰痛対策。セルフケアのアドバイス
いくら治療をしようとも本人の意識として身体を良くしたいと思わない限り何度でも痛みは出てきます。
(オーバーワークでセルフケアが追い付かいないこともありますが、それは仕方がありません)
それは私に言わせてもらえば、学生でも中学生でも大人でも関係ありません。
良くない練習を続けたり、改善できる痛みをセルフケアをあまりに怠り、痛みが強く出るという状態は考えたくありません。
ですので自分で出来るケアについては小学生でも普通に指導します。
今回が股関節・大腿前面の柔軟性を保つためのストレッチと胸部のエクササイズと指導しました。
「スポーツでの腰椎分離症の治療とリハビリ」の項目に詳しく記載してありますのでご覧下さい。
腰の反りを減らす為に必要な太もものストレッチのやり方と、背骨(胸椎)のストレッチエクササイズの方法が特にポイントなります。
サッカーでの腰痛~その後
痛みが出てから一度見えましたが、腰・でん部の痛みは感じなくなり、サッカーも普通に行っているとのことでした。
しかし身体を触るとやはり左と比べ右腰部の筋がカタい状態ですので、まだまだ注意が必要です。
そして自覚症状はないものの右の仙腸関節部に痛み(圧痛)があったのが気がかりでした。
痛み的に筋膜性の痛みだと思いますが・・・
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気になるものがあるようなら是非チェックしてい下さい。
まとめとさいごに
サッカーでの腰痛が出るパターンの1つに太ももと股関節の柔軟性が少なくなって、腰に無理な反りが出ているというものがあります。
対処は簡単で日ごろから太ももの前の柔軟性を確保し、欲を言えば背骨(胸椎)の動きがしっかいでるとよいでしょう。
今回の様に比較的早い段階でしっかり親に相談し対応すると、痛みが取れるのも早いです。
これが中々親に相談できない環境ですと進行し、重症化してしまうわけですね。
親御さんは子供の練習している姿、頑張っている姿を応援するのはとても大切ですが、子供の身体で痛みがないか?等会話する事はそれ以上に大事ですね。
子供との会話がスポーツ障害を予防し、早期発見する事の近道だと私は思います。
以上で「サッカー選手の腰痛・骨盤痛」を終わりにします。