アキレス腱断裂はスポーツをする人にも発生しますが、スポーツをやり始めた中年層にも多いです。
しかし実際はスポーツをバリバリする方はアキレス腱断裂より、アキレス腱炎やアキレス腱周囲炎の方が多いですね。
アキレス腱炎/アキレス腱周囲炎も一緒に確認してみて下さい。
では具体的なお話をどうぞ
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【アキレス腱断裂とは】
文字の通りアキレス腱の断裂になりなす。
踵の付着部から2~6㎝で多く、この部分は血流が少なく繰り返しの負担により回復が追い付かなくなく、損傷しやすい部分になります。
受傷時には「バチン」というゴムが切れた音が周囲にも聞こえ、本人は後ろから何かが激突した衝撃にあうようです。
【アキレス腱断裂の特徴的な症状】
つま先立ちが出来なくなります。
歩行もかばったような歩き方になりますが、歩行は可能です。
限局的に患部の圧痛、下腿三頭筋の収縮痛などもみられます。
【アキレス腱断裂の原因】
下記の三つのパターンが多いです。
毎日ハードにスポーツをする人
筋肉や腱のコンディションの低下により限界を超えた場合
(アキレス腱の微小断裂の繰り返しにより部分的な柔軟性の低下)
普段あまりスポーツをしない中年層
アキレス腱も他の組織同様に劣化が始まります。
その状態で普段かけない過剰な負荷を抱えるだけで限界を超え断裂します。
再断裂
過去に一度断裂した人が再度断裂してします。
リハビリ不足による柔軟性の低下→同側
リハビリ不足により断裂した足に荷重が掛けられずに反対足に過剰に負担がかかる→反対足
【アキレス腱断裂の診断】
MRIを取れば確定しますが、撮影しなくでもわかる簡単なテスト方法があります。
またレントゲンでもアキレス腱の連続性がない事は確認できます。
テスト方法は患部にストレスが多くかかるため必要最低限の回数で行いましょう。
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~トンプソンテスト~
受傷者をベッドなどにうつぶせに寝てもらい、膝関節を90°曲げます。
この場合足関節がダランと力を抜ける状態にしましょう。
受傷側の足のふくらはぎをつまみ、足関節が動かないまたは動きがほとんどない場合、断裂が強く疑われます。
通常はふくらはぎをつまむと、足関節が底屈します。
(足関節の底屈:足首が下に動く動作)
【アキレス腱断裂のスポーツ】
すべてのスポーツに起こる可能性がありますが、切り返しが多いスポーツに多いです。
サッカー、バスケット、バレー、テニス、剣道、卓球など
【アキレス腱断裂の治療とリハビリ】
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治療方法は保存療法と観血療法(手術)のどちらかが選ばれます。
それぞれメリット/デメリットがありますが、近年では手術をする方が多いかと思います。
スポーツ選手なども手術を行う例が多いです。
二つの治療法の共通点はヒールを踵に入れ、踵を高くすることでアキレス腱の負担を少なくします。
組織はある程度の負荷をかける事でより強くなろうとしますので、恐怖心でいつまでもアキレス腱に負担をかけられないと、リハビリの進みも遅くなりますし、弱いアキレス腱となってしまします。
そのため理学療法士の指示のもと勇気を出して荷重をかけていくことも重要になります。
下記の期間はあくまで目安になりますが、参考にしてみて下さい。
<保存療法>
長期間の足関節の固定が必要になります。
手術部位からの感染症の心配がない。
傷が残らない。
手術と比べ、再断裂のリスクがある。
保存療法はどうしてもギプス固定の期間が長くなります。
しかし常に同じ固定角度ですと、拘縮と言って関節の動きが悪くなってきますので、固定の角度は日数とともに変化させます。これは原則です。
6~8週 ギプス固定。足趾のトレーニング、徐々に関節運動を伴わない筋力訓練。
9~12週 下腿三頭筋の筋力強化とストレッチ
13~16週 徐々に負荷をあげていく。ジョギングやジャンプなどを段階的に
17~23週 スポーツ復帰
24週~ 現場復帰
<観血療法(手術)>
手術部位からの感染症のリスクがある。
傷が残る(少ない傷で済む手術もあります)。
保存療法と比べ、再断裂のリスクが少ない。
2~3週 ギプス固定。足趾のトレーニング、徐々に関節運動を伴わない筋力訓練。
4~5週 非荷重で負担が少ないトレーニング(バイクなど)や座位でのトレーニング
6~7週 下腿三頭筋のストレッチと筋力強化
8~16週 筋力強化の負荷を上げていき状態をみて走行練習、ジョギング、ジャンプを段階的に行う
16週~ スポーツ復帰
20~24週 現場復帰
【アキレス腱のサポーター】
競技復帰にあたって、いきなりそのままプレーするのは精神的にも肉体的にも心もとないものです。
復帰は問題ないと言われても、恐怖心は中々ぬぐえないものです。
ここではアキレス腱断裂からスポーツを復帰する際に必要であろうサポーターをいくつか載せておきますので、参考にしてみて下さい。
基本はリハビリということを忘れずにお願いします。
【さいごに】
以前、整形外科に勤めていた際に私が担当したアキレス腱断裂の患者さんは保存療法を希望しましたが、通院が厳しい為お世話になっていて信頼のおける先生の整骨院が近いということでそちらの整骨院の方へ紹介をしました。
しかし原則として症状が落ち着くまでは、理学療法士のいる整形外科での治療をおススメします。
近年増えているグループの整骨院や接骨院へ通院は避けた方がいいと断言します。
これは知識や経験の、そして専門性の問題になります。
きちんと出来ないようなら、そこから紹介してくれる整骨院ならよいですが、駆け込みで入りそういった対応がなく、知識がなかったら少し恐ろしいです。
応急処置でしたら問題ありませんが、日ごろの通院は電話などで問い合わせてから通院した方が無難かと思います。
アキレス腱断裂は他の障害やケガと同様、普段からの予防が大事になります。
練習がハードになるとついついストレッチなどのコンディショニングがおろそかになりがちです。
中年層で運動を始める場合は常に柔軟の時間を多く設けましょう。
断裂してしまった場合は長い間復帰が出来なくなりますが、しっかり復帰に向けたリハビリが必要になります。
再断裂の恐怖心をしっかり振り払える状態でないと、反対側の断裂や他のケガを誘発してしまので注意ですね。
以上で「アキレス腱断裂」の説明を終わりにします。