先日肩甲骨と腕の関係や股関節と骨盤の関係についてコメントでご質問を頂いので、わかりやすく説明していきたいと思います。
極力誰にでもわかりやすく説明しているつもりですが、わかりにくかったらコメントよりお知らせ下さい。
腕と肩甲骨はペアで大腿部と骨盤もペアで考えると体がうまく動きやすくなります。
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体の部位の説明
まずは解説するにあたりの呼び方を理解しておく必要があります。
また動きも一緒に覚えて下さい。ただ細かい動きを入れるとこんがらがり、逆にイメージがつきにくいと思うので、シンプルに説明していきますね。
画像を参考に覚えましょう。
肩周辺の骨の説明
①肩甲骨:背骨と腕の間にあり、腕をスムーズに動かすのに大切な骨
②上腕骨:腕の骨。近くは肩甲骨、反対は前腕部と関節をする。
③脊柱(胸椎):胸椎と肩甲骨はお互いに密接な関係をしている。腕の動きを説明するのに必要な背骨。
④肩関節:肩甲骨と上腕骨で構成させる関節。
肩に関する動き
肩に関する動きは肩甲骨と肩関節(上腕骨)の2つを覚えましょう。細かく説明すると理解が大変だと思うので、特に大切な動きだけ解説してあります。
肩(上腕)の動き
屈曲:腕を前から上げる動き
伸展:腕を後ろから上げる動き
内転:腕を内側に曲げる動き(反対の肩を触る動きなど)
外転:腕を横に上げる動き
肩甲骨の動き
①上方回旋:肩甲骨の関節が上を向く動き。
②下方回旋:肩甲骨の関節が下を向く動き。
③内転:肩甲骨がそのまま背骨に近づく動き。上方回旋とペアで腕を上げるのに必要な動きとなる。
④外転:肩甲骨が背骨から離れる動き。肩甲骨が外転位だと腕は上がりにくい。
股関節周囲の骨
①大腿骨:太ももの骨。
②骨盤(仙骨、腸骨、坐骨、恥骨):太ももと腰椎の間にある、体を支えるの大切な部分。
③腰椎:腰の骨。上は胸椎、下は骨盤と接続する。
股関節周囲の動き
股関節は荷重関節なので、少し特殊です。
骨盤からみる動きと大腿部から見る動きで考える必要があるので、少し難しいです。それぞれのパターンをチェックして下さい。
屈曲:大腿骨を前から上げる動き。大腿骨を固定した場合、骨盤を前に倒す動き。
伸展:大腿骨を後ろへ引く動き。大腿骨を固定した場合骨盤を後ろに倒す動きになるけど、そこまで大きくない。
内転:大腿骨を内側へ閉じる動き。反対の動きは基本的に考えなくていいでしょう。
外転:大腿骨を外へ開く動き。大腿骨を固定した場合、身体を横へ倒して片足立する動き。
内旋:大腿骨を内側へ捻じる動き。主に内股の事。
外旋:大腿骨を外側へ捻じる動き。主にがに股のこと。
骨盤の動き
前傾:骨盤が前に倒れる動き。本来の前傾は大腿骨と骨盤が近付く動きとなる。
後傾:骨盤が後ろに倒れる動き。猫背、後方重心
以上が簡単な解説になります。
次にそれぞれの動きの特徴を解説していきます。
肩関節・上腕の動きの解説
肩関節は単独で動くわけではなく肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節などが複合して動く事で初めてスムーズに動きます。
肩甲胸郭関節とは肩甲骨と肋骨の間になります。関節と言っても実際の関節ではないのですが、関節に近い動きをするので、こう呼ばれています。
そして肩関節の動きに肩甲骨かきちんとついてこないと肩周囲の痛み、不具合、スポーツ障害が起ってしまうわけです。
- 肩のインピンジメント症候群
- 肩甲骨周囲の筋肉の異常
- 水泳肩
- 投球障害
- 腱板損傷
特に注目を集めるされるのか肩甲胸郭関節、すなわち肩甲骨の動きです。
基本的には上腕の動きについていくように肩甲骨が動きます。
- 上腕の屈曲ー肩甲骨の上方回旋(+肩甲骨の内転)
- 上腕の伸展ー肩甲骨の下方回旋(+肩甲骨の外転)
- 上腕の外転ー肩甲骨の内転
- 上腕の内転ー肩甲骨の外転
※もちろん細かくこれ程単順な動きではなく動きは複合して起こるのですが、理解しやすくするためにシンプルに説明文あります
そしてこれらが逆に動くと問題は特に起こりやすいと言えます。
更にこれらはそれぞれの動きを阻害するパターンもあります。
肩甲骨と上腕の動きの問題
- 肩甲骨の外転が強いと上腕の外転は起こりにくい
- 肩甲骨の内転が強いと上腕の内転は起こりにくい
- 肩甲骨の上方回旋が働かないと上腕を最後までスムーズに上げられない
- 肩甲骨の下方回旋が強いと上腕を最後までスムーズに上げられない
そして肩甲骨は胸椎とも強い関係があります。
胸椎の曲がりが強い→肩甲骨が外転しやすく内転しにくい
逆のパターンはほぼないので胸椎と関係するのはこれだけでとりあえずは問題ありません。
こうやって説明させるとパズルみたいでわかりにくですよね?
簡単に問題となる組み合わせを紹介しておきます。
胸椎の曲がりか強い→肩甲骨が内転しにくい(外転している)→肩甲骨が上方回旋しにくい→上腕がスムーズに上がらない→肩周囲の怪我や問題につながる。
これが王道パターンです。
現代の日本人は背中が丸まり、肩甲骨の位置が崩れている人がほとんどです。これは子供でも変わりありません。
ですから肩周囲の問題は胸椎が大きく関わっていると言っても過言ではありません。
逆にスムーズの動きとしては胸椎がきちんと反る→肩甲骨が内転する→肩甲骨が上方回旋しやすい→上腕も動きやすいとなります。
それでは次に骨盤です。
骨盤の動きの関係について
大腿骨と骨盤は肩甲骨よりも複雑です。
その理由に股関節は荷重関節で体重を支える為、単純に股関節を動かすと言っても大きく分けて2つのパターンがあります。
↑骨盤からみた足の動き
↑足から見ると骨盤がおじぎしている
例えば骨盤から見れば大腿骨を持ち上げる動きは屈曲ですが、足を着いた状態でお辞儀をする動きも大腿骨は屈曲しているわけです。
足を着いているから大腿骨は動いていませんよね?骨盤が動く事で同じ動きとなるわけです。
基本的に骨盤と大腿骨が前から近づく動きが屈曲と考えるとわかりやすいですね。
股関節は反対足とも関係する<外転>
そして股関節は反対の股関節と密接な関係もあります。
例えば片足立ちをしてみて下さい。何かにつかまっても構わないのでいけるところまでです。
この動きは上で説明した通り、股関節の外転です。
我々は学生のときに股関節の正しい可動域は片側45°と習います。しかし頑張って開くと明らかに45°は超えてますよね。
これは股関節の外転は反対の股関節と連動している為です。一見片側で45°開いているように見えますが、実は反対の股関節も一緒に動きていますよね。
内転は例外
内転に関しては両足同時に行うのは限りなく不可能です。なぜなら筋肉や脂肪が動きを邪魔するからです。
出来ているように見えても他の関節を使ったりしてそう見えているだけです。
なので股関節の内転は片側が原則です。そして教科書上では°と習います。
これ以上は股関節の純粋な動きではなく、骨盤の動きを伴っています(これを動きの代償と言う)
股関節と骨盤と腰椎の関係
上での説明の通り、股関節の屈曲動作とは骨盤が前に倒れる動作と大腿骨が前から上がる動作、つまり骨盤と大腿骨が前から近づく動きを言います。
伸展は骨盤と股関節が前から離れる動きですね。
しかしここで股関節の屈曲(大腿骨と骨盤が前から近づく動き)が正しく出来ないと腰椎を曲げる事でポジションを作ることになります。これでは骨盤の前傾不足となり、パフォーマンスが上がらないばかりか、ケガも増えます。
骨盤の前傾(股関節の屈曲)が出来ないのに、腰を下げろと指導されると後方重心となり、結果的に猫背の原因の1つとなります。
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そしてこれが常習化するとスポーツ障害となります。
- 筋筋膜性腰痛症
- グロインペイン症候群
- 膝前面のスポーツ障害一覧
など
ただ基本的には運動選手であれば骨盤の後傾はパフォーマンスが下がるので、改善する必要があると言えます。
→[骨盤編]子供の猫背の治し方。骨盤後傾予防体操とストレッチ
ただし骨盤は肩甲骨ほど動けるわけではないので、左右ほぼ一緒に動くと認識して下さい。
もちろん骨盤もねじられたり動きますが、そこまで大きくは動きません。
まとめると・・・
- 大腿骨の屈曲と伸展は骨盤と関係し、腰椎とも関係する。
- 大腿骨の屈曲≒骨盤の前傾(但しこれが正しく出来ない人は多い)
- 大腿骨の伸展≒骨盤の後傾
- 大腿骨の外転は原則両側ペアで起こる
- 大腿骨の内転は原則片側のみで起こる
- 骨盤と大腿骨はそれぞれ密接な関係だけど、骨盤は肩甲骨よりも動きはでない
※ただし脚長差の場合はこの限りではなく、解説が専門的になるので割愛します。
ちなみに骨盤の後傾は胸椎を曲げるように連動します。それはつまり肩甲骨は外転しやすくなり、腕は上げにくくなります。
つまり股関節が曲げられないと腰が曲がりやすくなり、胸椎も曲がりやすくなる。すると肩の動きにも悪影響となる。
このように体は単独で動くことは無く、連動して動きます。
おさらい
それではまとめでおさらいしましょう。
理想の動きの順番
- 股関節の屈曲が出来る
- 胸が張れる(胸椎の伸展)
原則この2つがしっかりできれば自然と動きはよくなります。逆にこの2つがダメだろ動きを出す上で致命的といえるでしょう。
ですので、スポーツを指導されつと股関節の屈曲や胸を張る動きを練習させられるわけですね。
以上が肩関節と股関節の基本的な動きと関連についてとなります。
一緒に読むと理解しやすい記事
→体の動きについての基本です。
→現代っ子の股関節の問題です。
■[骨盤編]子供の猫背の治し方。骨盤後傾予防体操とストレッチ
→猫背を骨盤から治します。
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