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12/2に千葉県のクリニックでイップスの勉強会があったので仕事の休みをもらい参加しました。

短時間ながらもとても勉強になり

  • 投球やプレー中の特定の動作が上手くいかない…
  • 自分はイップスだけど、人に言えず悩んでいる。
  • 治そうと思ってもどうしたらいいのかわからない。

上記のような悩みがある選手や親御さんの力になれる内容でしたね。

 

正しくイップスを理解して、きちんとした対応をすればイップスは十分に解決できる問題です。

イップスは技術力が足らないわけでもメンタルが弱いわけでもありませんし、それを理由にしている時代は終わっています。

もしイップスに悩まれている方がいるのであれば今回の記事で出口へ少しだけ導くことができるかもしれません。是非参考にどうぞ!

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イップスについての注意点

イップスは80年以上の歴史がある、いわばスポーツ障害ですがレントゲンをはじめとする画像での判断が難しかったりそもそも認知されない・本人が言い出せないなどが理由により、まだまだ遅れをとっていると言えます。

それは逆に言えば改善できる分野であると同時に急速に研究が進む可能性の分野とも言えます。

 

日々医学は進歩するので、数年後もしかしたらこの記事とは違う内容になっている可能性もあります。それも踏まえて現段階でのイップスとして読み進めて頂ければと思います。

 

今回のイップスの勉強会について

今回は市川のクリニックをにお邪魔して2人の先生からイップスについてご教授頂きました。

山口達也先生

・慶応義塾大学スポーツ医学総合センター アスリートストレスマネジメント外来

元々は同大学の精神神経科にいたが2016年よりアスリートストレスマネジメント外来を担当

石原心先生

・ハバナトレーナーズルーム/イップスジャパン

・鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師

・日本トレーディング指導者協会公認トレーナー

・イップスからスポーツ選手を悩ます謎の症状に挑む 著

 

お2人からは立場や資格は違えど、イップスに対しての考え方などは共通している部分も多く貴重な意見を聞くことができました。

また会場を提供していただいたメディカルプラザ市川駅さんの施設も広く、きれいで対応もよくして頂きました。

ありがとうございました。

 

 

そもそもイップスとは?

「イップスって名前は聞くけど実際はどんなものなのかわからない。」という方は少なくないのではないでしょうか?

 

イップスは1930年代に当時のプロゴルファーのトミー・アーマー選手により名づけられたもので「小刻みなふるえなどの症状が子犬の鳴き声(yip:イップ)に似ている」ことからそう呼ばれるようになりました。

主に止まった動作などからの動き出しで起こる事が多く、常に動いているスポーツでは起こりにくいのが特徴です。

 

イップスが多い競技:野球のピッチャー、ダーツ、テニスのサーブ、バスケのフリースローなど静止するタイミングがある競技はイップスが多い傾向

イップスが少ない競技:格闘技、マラソンなど動き続ける競技には少ない。

 

もちろん少ない競技でも100%ないとは言い切れませんが、少なくとも多い競技に比べればかなり少ないと言えるでしょう。

ちなみに楽器演奏者や文字を書く仕事をしている人などスポーツ以外にも起こりうります。

ポイント

イップスは止まった状態からの動きだしで起こりやすい。

 

 

もしかしてイップスかも?イップスの特徴と症状

イップスはいくつかの特徴があります。

多くの選手は神経がとても行き届いている前腕~手にかけて違和感や動かしにくさを訴えますが、他に

  • 頭が真っ白になる
  • 力が入りにくくなる
  • 勝手に体が震えてしまう
  • 思うように体が動かせない
  • 動きがかたまってしまう

などの症状が多くの場合共通します。

これらは特定の動作時のみに出現し、他の動作は問題なく出来るのも特徴です。

 

例えば「近い距離のキャッチボールは出来ないけど、遠投は可能」、「テニスのサーブは出来ないけど、ストロークは可能」など比較的ピンポイントな動作が出来なくなりやすいです。

ですが、この時の選手の心理状態として「基本的な動作が出来ない=その競技が出来ない」といった全てを否定してしまう心理状態に陥ってしまうのもイップスの症状と言えるでしょう。

更にそういった選手の心理状態といて下記のようなこともあります。

ポイント

・イップスは腕から手の違和感が強い

・イップスは自分の考えの通りに体が動かない

・肉体的な問題だけでなく心理的な問題も特徴

 

 

イップスの選手の心理状態

イップスがそれなりに長い歴史があるにも関わらずに現代まで不透明になった原因の1つに自分の中で解決しようとしたり、人には話にくいといった面があるからです。

普通のケガとは違い目で見えるよな明らかな原因はない。でも身体の不調はわかる。

周りから見れば普通だから休むわけにはいけないし、そもそもなんて説明してはいいのかわからない・・・

そんな「人に話しにくい、どう対処したらいいのかわからない。」つまり自分の中で必要以上に考え込むというのがイップスに多い心理状態と状況です。

そしていつの間にか好きで始めたスポーツが苦痛になったり、やめるしかないという状況にまで追い込まれるのがイップスなのです。

ポイント

イップスは人に話しにくく、自分で抱え込みやすい。

 

 

イップスになったスポーツ選手

実はプロのスポーツ選手でもイップスに悩んだ選手は少なくありません。

元プロゴルファーの宮里藍選手や石川遼選手。野球ならイチロー選手。

海外選手で言うとメジャーリーガーのリック・アンキール選手やプロゴルファーのアーニー・エルス選手など。

 

これを見てわかる通り、上記の選手はメンタルが弱いわけでもなく、技術不足ではありませんよね。メンタルがザルならあそこまでいけませんし、技術も然り。

つまりはイップスは「メンタルが弱いから」や「技術が足らないから」といった検討違いの思い込みでは決してないのです。

 

ではなぜプロ選手がイップスになるのか?それは彼らが技術的に優れていて、ある程度自分の形を持っているからです。

それを言い変えれるとイップスになった選手は技術は決して低いわけではなく、それを罵られるのは間違えなわけですね。

 

プロではないですが、甲子園でも活躍した高校球児、全国レベルの中学野球の選手、テニスのインターハイ出場選手など、技術が低い場合不可能なレベルぐらいの選手にも多いのです。

ポイント

イップスは技術力が高い選手にもメンタルが強い選手にも起こる可能性がある。

 

 

イップスの原因。精神力や技術力の低さは関係なし?

イップスの原因は上記でも触れたようにメンタルの弱さや技術力の不足が原因ではありません

ではイップスはなぜ起きてしまうのでしょうか?

それは「ふとした瞬間に何かがきっかけで、今までの動きを忘れてしまう」から起こります。専門的な言葉で定義すると「自動化した動作の遂行障害」とされています。

これはある程度技術が付いた選手に起こるもので全くの素人や、そのスポーツの動きが身体に染み込んでいない選手には起こりにくいのが特徴です。

今までは何気なく投げていた球も何かがきっかけでうまく投げられない。いきなりサーブが入らないと思ったら、今までどうやった打っていたのかわからなくなる。

ではその何かって何だ?と言うといくつか候補が多いパターンがあります。

  • 人間関係
  • 大舞台での緊張
  • トラウマ
  • ブランク明け

恐い先輩とペアや自分より実力がある人と組んで練習をやることで緊張により、動作をふと忘れてしまう。

改めて自分の動きを考えると、なぜかぎこちなくなり泥沼にはまるようにできなくなる。

 

つまりある程度技術的に出来る人は「出来て当たり前」なプレッシャーの中。失敗できないという過剰な意識がいつの間にか失敗しないために不自然に運動調節(ぎこちない動き)を行う事でイップスになるのです。

心因性の問題と肉体的な問題の両方が重なってイップスは作られていくのです。

ポイント

当たり前のことが出来ていたのに出来ない。そのプレッシャーが”失敗しないように”というぎこちなさ動きを呼ぶ。

その引き金は人間関係,大舞台での緊張,トラウマ,ブランク明けなどがある。

 

 

イップスの治療について

イップスは他人に理解されにくい問題です。なぜなら明らかに外から見てケガなどの異常がないから。

でもおかしい。どうにかしないと。でもどうにもならない。

この様な自分の中に閉じ込めてしまう事で余計に表に出てこれなくなります。それが原因で引退した人もいるでしょう。

それではイップスは改善出来ないのでしょうか?いやあきらめないで下さい。どうしたら改善できるのでしょうか?こう考えていきましょう。

イップスを改善させるにはいくつかの方法があります。

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認知運動療法

イップスには原因があります。転倒によるもの、接触によるものなどの動作的な問題が原因で不安感や違和感がある場合はその動作を克服する必要があるのです。

周りから見たらどの選手も当たり前に起こっている競技動作でも、本人にとってはとてもハードルが高いものとなり、更に自分でハードルを高くしてしまっている事もあります。

それを理解させるのは大切なことです。

  • 自分の出来ない動作を確認するためにビデオに撮影する
  • ゆっくりその動作(腕などの動き)を目で見て追ってみる
  • 何度か失敗してみて問題ないことを頭に刷り込ませる

この様に自分の動きを認知させ、改善させるために動かすリハビリを認知運動療法と言います。

 

道具を変える

使っているものを変えるだけで大きく変化することがあります。

これは石原心先生の経験と研究によるアプローチでとても参考になります。

 

特に野球選手に言える事ですが、ボールが小さいと手先である程度コントロール出来てしまいますよね。すると上でも書きましたが「失敗出来ない意識によるぎこちない動き」が生まれてしまいます。

これを改善するにはどうすればいいのかというとボールを大きくすると手先でどうにからしようとすることが出来なくなるので、ぎこちない動きが減って投球しやすくなるのです。野球ボールでのキャッチボールをハンドボールやバレーボールのボールで行うということですね。

ぎこちない動きを半強制的に出させないことで、イップス自体を起こりにくくさせるのです。

 

内的アプローチ(カウンセリングとから自分を見つめる)

イップスの選手の心理状態に自己否定があります。

今まで当たり前に行ってきた動きが出来ない。なぜ出来ない?いくらやっても思い通りにできない。そして失敗を繰り返すことで、自信を消失してやる気やあきらめの気持ちが強く出てしまうのです。

ですが上記のとおり、イップスは多くの場合、特定の動作だけできないだけであって意外と他の動作は出来ます。それがいつの間にか自分はその競技自体がダメだと自己否定をして泥沼にはまってしまうのですね。

これを抜け出すために自分には何が出来て何が出来ないか?を明確にするためのセルフモニタリングシートを記入し、自分と正しく向き合うことで改善へつなげます。

 

また他にも、カウンセリングを十分に行う事で実はスポーツとは関係ないもっとプライベートなところが原因だったということが出てくることがあります。

これにはきちんといた医師や先生に行ってもらう必要がありますね。

イップスはスポーツ動作で問題となりますが、必ずしもスポーツと関わっているとは限らないという側面もあるのです。

 

薬物療法

イップスは診断名が付けば健康保険が使えることもあります。すると投薬も可能です。

向精神薬や抗うつ薬などを薬物療法として処方することがあります。

 

パターン化の獲得(ルーティン)

これは改善方法とは少しずれますがルーティンを作る事で「その動作でのぎこちない動きを誤魔化す」ことが出来ます。ですのである程度改善されたあとってところですかね。

プレッシャーの掛かる場面でフッは我に返るとそのプレッシャーが一気の襲い掛かってきます。

想定してみて下さい。

あなたはサッカー日本代表で、ワールドカップでついに決勝まできました。しかもPKにもつれ込む大熱戦です。

5人目のキッカーのあなたが決めないと負けてしまします。日本での視聴率は凄まじいものになっているでしょう。

そこでいつも通りのキックが出来るでしょうか?

難しいですよね。改めて考えれば考える程自分にかかるプレッシャーは尋常ではありません。そう考えると右に蹴ろうか左に蹴ろうか。助走はどうしよう?いや今までどうしてた?

なんて思考になってしまう可能性もあります。

これは極端な例ですが、ルーティンで自分のいつもの動き・パターンに入り込む事でぎこちない動きを押さえる事ができます。

 

 

イップスはこれらを行っていくことで「自分は出来る」「〇〇の競技は今まで辛かったけどまた楽しくなってきた」「周りから褒められるようになってきた」を経験させるのが大切です。今までは自分の動きが悪い腕や手にばかり意識がいっていたのが「楽しい」「やれる」「物足りない」と感じる事が出来るようになったらゴールは近いでしょう。

なぜならすでにイップスから抜けつつある思考だからです。

この中からどの選択肢を取るのか?は選手や担当の先生によってことなるでしょう。

但しこれだからこれ!といった決めつけはなく選手のオーダーメイドの治療が大切となります。

 

あと気を付けたいのが動きをピンポイントで指導するのは避けるべきです。と言うのも肩の角度が・・・と言ってしまうと今度はそこにばかり意識がいってしまい、悪循環になってしまうからです。出来るだけメンタル面全体的な方面でアプローチしてあげるといいでしょう。

 

山口達也先生(慶応義塾大学スポーツ医学総合センター アスリートストレスマネジメント外来)

石原心先生(ハバナトレーナーズルーム/イップスジャパン)

※実際にここに書いてある内容で「自分はイップスかも?」と思っても実際は違うこともあります。この記事だけで判断せずに正しい診断・判断は各先生から受けるようにして下さい、

 

ポイント

イップスの治療は個人によって変わってくる。

認知運動療法、道具の調節、カウンセリング、薬物療法、ルーティンの獲得などがある。

 

 

イップスに負けない為に出来る事

イップスは自分で対処しようとしてもどうしようもないケースが少なくありません。

「自分はケガをしていないけど、調子が悪い。助けて欲しい」

そうはっきり言えることが最大の治療だと思います。

 

イップスの選手はみんなイップスになりたくてなったわけではありません。

どうしたらいいのかわからない選手がほとんどでしょう。ならわからないなら聞けばいいのです。

それに何度も書いていますがイップスはある程度技術がある選手がなるものです。そんな選手が途中で競技人生を終えてしまうのはもったいない。まだまだ活躍できる可能性があるでしょう。

うまくなりたい、成長したい。

そんな気持ちがあればイップスは克服できるはずです。

 

親御さんもケガなどがないのに調子が明らかにおかしいなと感じたら話してあげてみて下さい。それが解決に繋がります。

 

この記事がイップスで悩む選手の助けになれば幸いです。

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