貧血は日常生活だけではなく、スポーツ選手にとっても大きな問題となります。
原因により対処方法が異なりますし、そもそも対処する必要がない貧血があるのをご存知ですか?
また貧血サプリメントは取れば取っただけいうのは過剰摂取となってしまいます。
「取りあえずサプリメント」の選択は間違いです。
そもそも貧血とは
難しく言うと大変なので簡単に言いますと、何らかの原因で血液中から鉄分が少なくなり、そのため身体に様々な症状がでる事が出る事で問題となります。
酸素は運ばれる際に鉄分(ヘモグロビンの一部)と結合して運ばれるため、鉄分が少なくなると酸素の供給も少なくなりやすいと言えます。
貧血の症状
全身への酸素の供給が少なくなる事で様々な症状がでます。
- 疲れやすい
- 持久力が低下
- 身体が冷えやすい
- エネルギーを作る能力が低下
など、基本的に全身の問題となります。
貧血状態は酸素の薄い環境で運動するのと同じ状況だと思っていただくといいでしょう。
貧血の種類と原因
貧血のは3つの種類に分けられ、原因が異なります。
それぞれ見ていきましょう。
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希釈性貧血
希釈とは水分が増える事で、中に溶けている成分が薄くなることを言います。
具体例を出しますと海水に真水を入れると海水は”希釈”され薄くなります。
これが血液にも起こります。
血液の水分が増える事で中の成分が希釈され、そのため「見かけ」では貧血状態となるわけです。
原因は新人など慣れていない選手がハードな練習をすることで起こるとされています。
溶血性貧血
溶血とは血管で赤血球が壊されることを言います。
原因として跳躍や走ることによる足裏からの衝撃が多いとされています。
ハードな練習をする場合、早い人で2日目には減少傾向が見られ、4日目にははっきりと減っていたとのことです。
また溶血性貧血が進行すると血尿を起こすとされています。
鉄欠乏性貧血
一番有名な貧血はこの鉄欠乏貧血でしょう。
体内に貯めている鉄分が不十分になったり、身体の組織へ鉄分がいきわたっていない状態となります。
原因大きく分けて3つあります。
1.食事から鉄分が取れていない
2.食事には含まれているが、身体がきちんと吸収しない
3.慢性的な貧血や大量の汗により鉄分を失う
この時問題となるのが3番です。
1に関しては通常の食事をしていれば問題はないとされています。
2は手術などして腸が切除されていない限りは問題には中々なりません。
3は女性に多いとされています。
それは月経によるものです。
もちろん個人差はありますが月に約40mlの出血がある場合、20mg程度の鉄分が失われるとされています。
1日の鉄分の摂取目安が成人男性で7mg成人女性でで10.5mgとされており、食事が不十分であれば鉄欠乏貧血になる可能性は高くなりますね。
ちなみに1日の食事でとる鉄分と失われる鉄分はほぼ釣り合っています。
貧血の治療
貧血の原因により治療方法が異なります。
それぞれみていきましょう。
しかしその前に貧血治療の一歩目はそもそも貧血か確認する事から始まりますので、本当に貧血か医療機関などの専門施設で確認しましょうね。
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希釈性貧血の治療方法
希釈性貧血の場合、鉄分自体は減ってはいないので治療の必要はありません。
溶血性貧血の治療方法
溶血性貧血の場合、原因が衝撃によるものが多いとされていますので、正しい休息を取ることで改善されていきます。
血尿が頻繁に起きる場合は練習内容に問題があると考えられますので練習自体を見直す必要があります。
もちろん血尿の原因が貧血の場合のみ有効です。他の疾患の場合はこの限りではないので注意して下さい。
鉄欠乏貧血の治療方法
鉄欠乏貧血の場合、食事の改善やサプリメントの使用をにより改善を試みます。
ここでポイントなるのは”必要以上取らない”と言う点になります。
詳しくは下で説明してあります。
治療で大切な事
医療機関へ行き、実際に貧血だと確定したら多くの場合そのままサプリメントなどを処方されるかと思います。
そして大事なのはそれで終わりにならずに日常生活での指導があるかという事になります。
食べ物、生活習慣、トレーニングなどです。
サプリメントは服用する事で数値は改善されるでしょうが、やめた場合どうかを考える必要があります。
貧血にはそれなりの原因が当然ありますので、本来はそこに注目し改善する必要があります。
下記にいくつかの改善アドバイスを書いてありますので、参考にして下さい。
また重症化するとトレーニングをしながら改善する事が難しくなります。
その際は一度練習やトレーニングを一時中断し完全に治療に専念することをおすすめします。
汗からの鉄分の損失について
汗からも鉄分がなくなると話に出る事があります。
その量は多少文献によってばらつきがありますが、結論として汗で失われる鉄分は気にしなくていいと言えます。
と言うのも汗で失われる鉄分の量はせいぜい数百μg/ℓなので問題ないといえます。
μgはマイクログラムで 1000μg=1mg となります。
この事から汗を気にするのであれば食べ物や他の事を気にする方が効果的と言えますね。
鉄分の摂取について
鉄分は様々な食べ物に含まれますが、当然多い食品少ない食品や身体に吸収されやすい食品吸収されにくい食品があります。
例えば動物性の食品よりも植物性の食品の方が鉄分は多く吸収もされやすいです。
もちろんバランスは大切ですよ。
鉄分の吸収を助ける栄養素
ビタミンCは鉄分の吸収を助けてくれるので食後などに果物を取るのがいいでしょう。
逆にお茶に含まれるタンニンなどは鉄分の吸収を下げるので注意が必要ですね。
まあ治療が必要なぐらいの貧血でなければ普通に飲んでも問題はありませんが。
サプリメントは有用?
鉄分のサプリメントは補給できるのでいいと思われがちですが、貧血治療が必要とする選手以外はあまりお勧めできません。
その理由は大きく分けて2つあります。
減ってしまう栄養素を考える
身体と言うのは何か栄養素が増えれば減ってしまう栄養素があるためです。
これは鉄分でも同じです。
鉄が増えると亜鉛やマグネシウムが欠乏してしまいます。
鉄分が足りないかなと思ったら自分で判断せず、一度きちんと検査をして専門家の意見を聞くことをおすすめします。
またサプリメントを使用し改善されてもそもそもの原因を理解し、対策を行い、生活自体を改善しなければいつまでたってもサプリメントが手放せないので生活を見直す事も必要となります。
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過剰摂取の問題
最近問題とされているのは貧血を恐れるあまりに過剰に鉄分をサプリメントなどで摂取してしまう事です。
というのも身体は過剰にある鉄分を積極的に排泄する機能がないのです。
では体内に残った鉄分はどうなるかと言いますと内臓に沈着すると言われています。
特に気を付けたいのが肝臓と心臓です。
肝臓に過剰に鉄分があると機能低下を起こしてしまいます。
心臓の場合も同様で機能低下を起こしてしまいます。
鉄分の摂取には上限が設定されており、成人男性で50mg成人女性で40mgとされています。
レバーなどかなり鉄分を意識した食事を行った場合それだけで1日30mg程となりますので、そこから鉄分のサプリメントを摂取しようとすると過剰になってしまう可能性が出てくるわけですね。
少々疲れやすいからといって安易なサプリメントの摂取は内臓機能を低下させる原因になりますので注意が必要と言えます。
どうしても摂取するのであれば錠剤タイプで一個当たり何グラム取れる確認できるタイプがいいでしょう。
また亜鉛やマグネシウムが入っていると少し安心ですね。
下記のサプリメントは1日3個で7.5gの鉄分が取れるとのことですので、食事でいつもより足らないないと感じたら1個でも十分でしょう。
1日の鉄分の摂取目安が成人男性で7mg成人女性でで10.5mgですので。
月経がある場合はその時だけ3個などうまく調節しましょう。
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参考資料
今回は「スポーツ栄養学」を参考にさせていただきました。
まさに基礎から書かれていますので、栄養についてまったくわからない。って方でも読みやすかと思います。
製本されたのが少し前なのがきになりますが、おすすめです。
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2つめは月刊トレーニングジャーナルのスポーツ選手と貧血を参考にさせて頂きました。
おわりに
貧血はスポーツでのパフォーマンスに直結する大事な問題です。
これは病気として理解し正しい対処が必要となります。
時間は取られますが、たまにでもいいので血液検査などを行う事をオススメします。
サプリメントは必ず食事と一日の摂取量のバランスと確認し、過剰摂取を避けましょう。