今回はスポーツでは比較的遭遇しやすい肋骨骨折についての解説になります。
「コンタクトした時から胸が痛い」
「深呼吸やせきでわき腹にひびく・・・」
「(回旋が多いスポーツで)何もしていないのに最近肋骨が痛い」
こんな症状があった場合、肋骨骨折かもしれません。一度チェックしてみましょう。
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肋骨とは。部分の説明
肋骨とは胸部を構成するパーツの1つで内側にある肺や心臓を守ったり、スムーズな呼吸をする役割があります。
肋骨の真ん中には前には胸骨、後ろには脊柱があり、片側12本の肋骨の間には肋間筋がつくことで呼吸をスムーズに行うことができます。
また肋骨は実は全てが骨というわけではなく、下の方の前側は軟骨となっていて完全な骨でありません。肋軟骨と呼ばれる部分ですね。
肋軟骨はレントゲンでも写らないので、患者さんの状態によって損傷しているか判断する経験が必要となり、医療機関や担当者の判断により異なるのもポイントです。
肋骨は上下斜めに様々な筋肉がつくので、それらの筋肉の影響で疲労骨折をしやすいといえます。
紫:胸骨
黄緑:肋軟骨
オレンジ:肋間筋
肋骨骨折について
肋骨骨折は1度の力で起こるいわゆる外傷性のものと、疲労骨折として起こるものがあります。
またヒビも骨折なのでそれぞれに対応した治療を行っていきましょう。
力の加わり方で分類されるので、それぞれ見てみましょう。
外傷性の肋骨骨折について
外傷性は基本的に1度の力で折れる骨折です。
直接ぶつかって折れるのはもちろん、人に強く押しつぶされて肋骨が歪み耐えきれなくなって折れるパターンもあります。
肋骨の疲労骨折について
疲労骨折は咳の繰り返しで起こることもありますか、各スポーツの競技特性で起こりやすいものもあります。
例えば第一肋骨はゴルフ、野球、柔道に多く、それより下は野球やゴルフに多いです。つまり回旋系のスポーツですね。
競技別に見ると野球は特殊なフォームであるアンダースローにみられることから、負担のかかりやすい前鋸筋や外腹斜筋の影響が強いと言われています。
肋骨骨折の症状
肋骨骨折は完全に「バキッ」と折れることもありますが、ヒビで終わることも大変多いです。ただ症状はヒビでも強いので、下記を参考にしていただければ問題ありません。
外傷性肋骨骨折の症状
肋骨骨折は外傷性の場合、直後から強い痛みがあります。
咳や深呼吸痛、寝返りも難しく、体位変換の痛みが10~14日程続きます。
第一肋骨に関しては上の様な症状は少ないことがありますが、あたっての痛みなどは十分あるので注意が必要です。
特に注意なのが何本も折れてしまうことで胸郭が不安定になり呼吸困難やチアノーゼ(顔があおくなる)がみられる場合で、あきらかにおかしい場合は早急に救急車を呼びましょう。肋骨は1本だけでなく、複数折れることがあり、正常な呼吸ができずにかなり苦しくなることがあるためです。
疲労性肋骨骨折の症状
疲労骨折の場合は症状が少し違います。
基本的に鈍い様な痛みが長く続きます。
状態によっては鋭い痛みが出ることもありますが、それよりも前に本人が訴えて発覚する方が多いでしょう。
肋骨骨折はレントゲンではわからないって本当?
肋骨骨折は場所によってはレントゲンでも確認が難しいことがあります。いくつもの骨が重なるからですね。その為、中には肋骨骨折をしてても骨折と診断されないケースがあります。
もちろん角度を変えて撮影しますが、それでもわかりにくいのは事実です。
↑肋骨骨折はレントゲンではわかりにくい
じゃあ骨折してても骨折と判断されないの?と思うかもしれませんが、そこは経験である程度わかります。
またどうしようもないぐらい微妙な場合は骨折と判断しておく方が無難でしょう。
「骨折なのに骨折と判断されての対応」のと「本当は骨折じゃなかったけど、きちんとした対応」はどっちがいいですか?
基本的に問題が大きい方に焦点を当てておいた方が何事もうまくいきます。
それでは次に管理人が実際にポイントとしている点を挙げていきます。
肋骨骨折の判断ポイント
それでは管理人が実際に肋骨骨折の判断ポイントとしている点を紹介します。
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受傷原因、スポーツの確認
ぶつけたのか?どんなスポーツをしているのかを確認することは大切です。競技により疲労骨折しやすかったりしますからね。
触ったり、押しての痛み
患部または患部周辺を押して確認します。肋骨は場所によりますが皮ふのすぐ下にあるので確認しやすいです。優しく触っても痛がります。そして逃げます。
咳、くしゃみ、深呼吸での痛み
深呼吸>咳>くしゃみの順で信ぴょう性は高く感じます。特に深呼吸で鋭い痛みがあれば要注意です。
寝返りの困難さ
肋骨骨折をしていると痛みにより寝返りができません。本人も明らかに嫌がります。問診だけで判断できますね。
介達痛の確認
折れたところに以外の胸部を両手で両サイドから抑えて圧迫します。そのまま深呼吸で痛みが出るか確認し、痛みがあれば骨折が疑われます。これは胸郭を構成する肋骨は樽状となっているため、一部が圧迫されると他の所に響く為、確認ができます。
この辺りが肋骨骨折の判断ポイントです。
個人的にはレントゲンよりこれらの検査の方が有用です。もちろんレントゲンで写ればそれが1番ですが、管理人も整形でレントゲンで骨折をその場で確認することは難しかったです。経過のレントゲンなどではっきりするケースの方が多いですね。
このように肋骨骨折はレントゲンよりも臨床症状で確認する方がいいでしょう。
肋骨骨折を診断しない・出来ない医者もいる。その時の問題は?
近年患者サイドの訴訟問題で医者もレントゲンなどで確定していない限り、骨折と診断しないケースがあります。
あとは臨床経験が少なかったりしてもそうですが、その最大の理由は「治療方法が変わらない」点にあります。
例えば肋骨の間にある肋間筋の損傷でも実際の肋骨骨折でも治療方法は変わらないのです。
「胸部のコルセットをして、呼吸を抑えることで患部の負担を減らし、治癒を目指す。」
肋骨の動きさえ出さなければかなり楽になりますからね。
ただ治療方法は同じでも不具合は出ます。
↓肋骨骨折はレントゲンのみで判断は難しい
肋骨骨折と診断されない場合の不具体は大まかに分けて2つです。
1つ目は周りの目。
骨折か骨折じゃないかってかなり大きな差がありますよね、周りの目の。
骨折だと「え?骨折?やばいしゃん!」とかなりますが、骨折じゃないと「骨折じゃなかったんでしょ?大げさだなぁ」なんて事になりかねません。
また骨折だと3〜4週間ぐらいは日常生活に支障が出ることがありますが、骨折じゃないと言われて、4週間も辛そうにされても…って思われてしまう可能性がありますよね。
2つ目は傷害保険です。
中には骨折だと一時金が貰える医療保険もありますので、どう診断されるかは大切ですよね。
おおよそ上の2つが骨折か否か問題が起こるポイントです。
肋骨骨折の治療
上で肋間筋と肋骨骨折の治療方法は基本的に同じと説明しましたが、大切なポイントは胸郭の動きを少なくすることです。
やり方としてはバストバンド(胸のコルセット)を、息を吐ききった状態で装着します。
息を吐ききると胸郭は小さくなるので、この時に固定をするわけです。吐ききり胸郭が小さい状態で動きを出さなければ痛みは抑えやすいです。
バストバンドは3〜4週間程でいいでしょう。逆に4週間経過して取れないぐらい症状が重いと問題ですね。
経過として最初の1週間は痛みが強いですが、2週間である程度落ち着いてきます。3週間で日常生活が楽になってきて、4週間でほとんどの場合治癒となります。
スポーツの復帰は6週前後ですが、コンタクトスポーツでは完全復帰にはそれ以上かかることもあります。
肋骨は骨のくっつきは比較的いい方なので骨自体は早く治りますが、バストバンドや痛みを少なくするために呼吸を抑えてる為、胸郭の動きをある程度戻してあげる必要があります。
フォームによる疲労骨折の場合はフォームの見直しや筋肉の柔軟性を確保する必要がありますね。
個人的に肋骨骨折のテーピングによる保護は費用・手間によりあまりおすすめしません。
サラシを巻いてその上からバストバンドを行うなどの方がいいでしょう。
↓肋骨骨折や呼吸・咳で痛く、息を止めて痛くないならバストバンドは有効
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↓さらしは巻くのが難しいのが難点
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基本的に複数が大きく折れていたり、内臓に刺さったりしていなければ手術はなく、保存療法となります。
肋骨骨折の現場での処置
肋骨骨折は痛みがある方を下にして寝ていると激痛が走るので、基本的に楽な姿勢で座ることをおすすめします。
コルセットがあれば使用し、なければ伸縮性のある弾性包帯を使いましょう。脇の下からみぞおちの下まで広い範囲で巻けるといいですね。
症状が強い場合は救急車で対応してください。
肋骨骨折のリハビリ
5〜6週ほど経過したら胸式呼吸の練習をし、胸の動きを取り戻します。胸式か+体をゆっくりひねるなどもおすすめです。
→胸式呼吸のやり方。正しく行う事でパフォーマンスアップとスポーツ障害を予防
そのあとは競技に合わせた動きをゆっくり取り入れながら、深呼吸をし胸郭の動きを出していきましょう。
疲労骨折の場合はフォームの改善が必要です。練習内容や練習環境の見直しも必要となります。くりかえしては治っても意味がありませんからね。
肋骨骨折のまとめ
肋骨骨折には外傷性と疲労性があり、外傷性で呼吸困難やチアノーゼがある場合は救急車を呼ぶ。
骨の治りは悪くなく、基本的に保存療法。
痛みの軽減、骨の治り合わせてリハビリをはじめていく。
疲労骨折の場合はフォームや練習環境に優しいの見直しを。
以上で「肋骨骨折についての説明」を終わりにします。
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